40代に入ってから、同じように食べているのに体重が増えていく。そんな経験はありませんか?
以前と変わらない食事量のつもりなのに、気づけばウエストまわりにじわじわと脂肪がつき、昔は効いていた食事制限も今回はうまくいかない。
更年期のダイエットがうまくいかない理由は、「意志の弱さ」ではなく、体の仕組みが変わっているからです。
この記事では、ホルモン変化が代謝に与えるメカニズムを整理したうえで、わたし自身が試してみて「ようやく続けられた」と感じた、1日200kcalを削るだけのシンプルなアプローチをご紹介します。
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なぜ更年期になると「同じ食事量」でも太るのか

エストロゲン低下が代謝を変える
更年期に体重が増えやすくなるのは、食べすぎだけが原因ではありません。
中心にあるのは、女性ホルモン「エストロゲン」の低下による代謝変化です。
エストロゲンは脂肪の分布や燃焼に関与するホルモンで、その分泌が減ることで、皮下脂肪から内臓脂肪への移行が起きやすくなることが報告されています。
また、基礎代謝そのものも加齢とともに緩やかに低下するため、20代・30代と同じカロリーを摂り続けていれば、じわじわと余剰分が蓄積されていきます。
更年期は「急に太る」のではなく、「それまで帳尻が合っていたバランスが、ホルモン変化によってじわりとずれていく」プロセスです。
活動量は落ちているのに、食欲は変わらない
もう一つ見落としがちなのが、活動量の変化です。
40代以降、仕事や家庭の役割が忙しくなる一方で、意識的に体を動かす機会が減ることも多い。
デスクワーク中心の生活が続けば、1日の消費カロリーは少しずつ下がっていきます。
ところが、食欲のレベルはあまり変わらない。これが「同じように食べているのに太る」という感覚の正体です。
要するに、摂取カロリーが変わらないまま消費カロリーが落ちていく——これが更年期の体重増加の主な構造です。
派手な原因ではないぶん、地道な「設計の見直し」が必要になります。
大幅カロリー制限が続かない、更年期ならではの理由

筋肉を削ると代謝がさらに落ちる悪循環
「とにかく食べる量を減らせば痩せるはず」という考え方は、以前の自分には通じていたかもしれません。
でも更年期以降の体には、大幅なカロリー制限が逆効果になるリスクがあります。
極端な食事制限を行うと、体はエネルギー不足を補うために筋肉を分解し始めます。
筋肉量が減ると基礎代謝がさらに下がり、少ない食事量でも太りやすい体になってしまう——これが「食べないのに痩せない」という悪循環の正体です。
研究でも、過度なカロリー制限は除脂肪体重(筋肉・骨・内臓)の減少を招くことが確認されており、特に更年期以降の女性では骨密度への影響も懸念されています。
頑張れば頑張るほど、体の土台を壊していくことになりかねません。
「疲れ・イライラ」は栄養不足のサインかもしれない
食事制限中に感じる「なんとなくだるい」「気分が不安定」という症状は、単なるストレスとは限りません。
鉄・ビタミンB群・マグネシウムなどの微量栄養素が不足すると、エネルギー代謝が滞り、疲労感や精神的な不安定さとして現れやすくなります。
更年期症状にも似た「疲れやすさ・イライラ」が、実は栄養不足から来ているケースも少なくないのです。
カロリーを大きく削ると、こうした栄養素まで一緒に切り捨ててしまう可能性があります。
カロリーだけを見た食事制限の限界がここにあります。
200kcal削減という「ちょうどいい」設計

1日200kcalの不足が1ヶ月で約0.8kgの脂肪に相当する
ではどのくらい減らせばいいのか。答えは思ったより小さな数字です。
脂肪1kgのエネルギー量は約7,200kcalとされています。
1日200kcalの不足を継続した場合、1ヶ月で約6,000kcal。これは脂肪に換算すると約0.8kgに相当します。
「1ヶ月に1kg未満」は地味に聞こえますが、半年で4〜5kg、1年で8kg前後のペースです。
筋肉を壊さず、栄養も確保しながら続けられることを考えると、この「小さな赤字設計」は更年期の体にとって非常に理にかなっています。
大事なのは、急いで減らすことではなく、「ずっと続けられる仕組みをつくること」です。
脂質カットで自然に200kcal減らす食事の置き換え例
脂質は1gあたり9kcalと、糖質・たんぱく質(各4kcal)の2倍以上のエネルギーを持ちます。
つまり、食べる量をほとんど変えずに脂質の多い食品から少ない食品へ置き換えるだけで、自然と大きなカロリー差が生まれます。

最初に変えたのは、揚げ物でした。週に2〜3回は食べていた唐揚げや天ぷらを、焼き物か蒸し物に置き換えるだけ。特に食べる量を変えたわけでも、運動を増やしたわけでもないのに、2ヶ月後には体が少し軽くなっている気がしました。大きな変化ではないけれど、「ちゃんと手応えがある」。この感覚が、久しぶりに続けられた理由だったと思います。
唐揚げ→鶏むねソテー:約170〜180kcal削減

唐揚げ(もも肉・衣あり)3個分(約150g相当)のカロリーは、調理方法にもよりますが300kcal前後になることが多いです。
一方、鶏むね肉のソテー(皮なし、塩こしょうのみ・同量)は130kcal前後。
差は約170〜180kcalになります。
ポイントは「鶏もも→鶏むね」への変更です。
むね肉は脂質が少ないぶんパサつきやすいですが、薄くそぎ切りにして片栗粉をはたいてからソテーすると、しっとりした仕上がりになります。
味つけをポン酢やおろしにすれば満足感も十分です。
スナック菓子→干し芋・甘栗:約150〜200kcal削減

「お菓子をやめたら痩せた」という話、よく聞きませんか。わたしも同じ体験をしました。
スナック菓子1袋(コンビニサイズ・約60g)は、種類にもよりますが300〜330kcal前後になることが多いです。
(普通にポップコーン1袋食べてましたから…わたし)
それを、干し芋(1パック・約80g・約200kcal)や甘栗(1袋・約40g・約100kcal)に置き換えると、同じ「間食する」行動でも150〜200kcalの差が生まれます。
重要なのは「間食をゼロにする」ではなく、「脂質を抑えた間食に変える」という発想です。
完全にやめようとすると反動が来ます。
干し芋や甘栗は食物繊維も含まれるため、腸内環境への好影響も期待できます(ただし食べすぎには注意)。

間食を変えたら「ドカ食い衝動」が落ち着いた!
そして、「おやつは食べてOK、ただし種類を変える」という許可を自分に出せたことが、プレッシャーなく続けられた一番の理由だと思っています。
その他の「-200kcal」置き換えパターン3選
①豚バラ→豚ロース、または大豆ミートへの切り替え

豚バラ肉100gのカロリーは約395kcal(脂質約35g)。
同じ量の豚ロース(脂身なし)は約150kcal(脂質約8g)で、差は約240kcalにもなります。
炒め物や鍋で豚バラを使うレシピを豚ロースに変えるだけで、ほぼ1日分の削減目標をクリアできます。
さらに踏み込むなら、週1〜2回を大豆ミートに置き換える方法も。
大豆ミートは脂質が低く、たんぱく質・食物繊維が摂れる優れた食材です。
味の差が気になる場合は、濃いめの味つけ(生姜醤油・味噌など)にすると馴染みやすくなります。
②油の質を変える、EVOO一択にする
「油の量を減らす」よりも効果的だったのが、「油の質を変える」という発想の転換でした。
以前はサラダ油をなんとなく使っていましたが、エキストラバージンオリーブオイル(EVOO)を使うようになってから、意識的に油の量が少なくなりました。
理由はシンプルで「もったいない」と感じるから。
風味が豊かなので少量でも満足感があり、自然と使う量が減ります。
また、アジ・サバ・イワシなどの青魚を中心にした魚料理にシフトすることで、飽和脂肪酸の摂取が減り、代わりにオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を摂れるようになります。
脂質の量だけでなく質を変えていくことは、カロリー削減と同時に体の炎症抑制にも働く可能性があります(ただし効果には個人差があります)。
③フライパンを買い替えて「油を引かない」仕組みにする
油を減らすための意志力に頼らない方法として、最もシンプルだったのがこれです。
フッ素樹脂加工(テフロン)のフライパンはコーティングが剥がれると油が必要になりますが、新しい状態では油なしで調理できます。
こまめに買い替えを習慣にするだけで、炒め物や焼き物での油の使用量がほぼゼロになりました。
「仕組みを変える」という視点は、ダイエットを長続きさせるうえで非常に大切です。
意識に頼らず、道具でカットできるカロリーは積極的に道具に任せる——これもひとつの最適化です。
200kcal削減を「習慣」にするための3つのポイント
記録はしない。「置き換えリスト」を冷蔵庫に貼るだけ
カロリー計算アプリへの記録が続かない人は少なくありません。
特に忙しい40〜50代の生活スタイルでは、毎食記録する作業自体がストレスになります。
代わりにおすすめしたいのが「置き換えリスト」を一枚作って冷蔵庫に貼ること。
「唐揚げ→むね肉ソテー」「豚バラ→豚ロース」「スナック→干し芋」のように、具体的な置き換えペアを書き出しておく。
これを見るだけで、その日の料理の選択基準が変わります。
記録は「振り返り」のためのものですが、置き換えリストは「決断の省力化」のためのものです。
前者がなくても後者だけで十分に機能します。
週1回「置き換えできた?」だけ確認する
自己モニタリングの粒度を下げることも、継続のコツです。
毎日体重を測って一喜一憂するのではなく、週に1回だけ「今週、置き換えを何回できたか」を確認する。
100点を目指さなくていい。週5回のうち3回できていれば十分です。
「完璧にやらなければ意味がない」という思い込みが、挫折の最大の原因です。
7割できていれば、それは確実に積み重なっています。
停滞しても「200kcalに戻る」だけでリセットできる
ダイエット中の停滞期は誰にでも来ます。問題なのは停滞そのものではなく、「また失敗した」と感じてすべてをやめてしまうことです。
200kcal削減という設計の強みは、再起動が非常に軽いこと。
旅行や外食が続いた週も、「来週また置き換えを再開する」だけでいい。
ゼロに戻っても、200kcal削減に戻るのに大きなエネルギーは要りません。
「続けられないダイエット」から「やめても戻れるセルフケア」へ。
その切り替えが、更年期以降の食事管理では何より大切だとわたしは感じています。

よくある質問
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、50〜64歳の女性(身体活動レベル「ふつう」)の推定エネルギー必要量は約1,950kcalとされています。ただしこれは個人の体格・活動量によって大きく異なります。この記事では「何kcalを目指す」ではなく「今より200kcal減らす」という差分の設計を推奨しています。現在の食事から引き算する形のほうが、実践しやすく続けやすいためです。
はい、むしろ積極的に摂ることをおすすめします。たんぱく質は筋肉の材料であり、基礎代謝を支える重要な栄養素です。今回ご紹介した置き換え(唐揚げ→鶏むねソテー、豚バラ→豚ロース・大豆ミートなど)は、たんぱく質量を落とさずに脂質・カロリーだけを減らす設計になっています。食事全体のたんぱく質を減らすことは、今回の目的とは逆方向です。
体重変化という意味では、摂取カロリーと消費カロリーの差が大きな決め手になるため、運動なしでも効果は期待できます。ただし、筋肉量の維持・向上という観点からは、軽いウォーキングや筋トレを組み合わせるほうが、長期的な基礎代謝の維持に有利です。「まず食事から」という順番で始めて、体が慣れてきたら少しずつ動く量を増やすという進め方が無理なく続けやすいと思います。
まず、停滞期は体が新しい状態に慣れようとしている正常な反応であることを知っておくことが大切です。焦ってさらに制限を強めると、筋肉分解・代謝低下の悪循環に入るリスクがあります。停滞を感じたら「現状維持のまま2〜3週間様子を見る」「たんぱく質摂取を少し増やす」「軽い運動を加える」といった対応が現実的です。200kcal削減という設計であれば、停滞しても「今のペースを守る」だけで問題ありません。
完全にやめる必要はありません。間食を禁止すると、かえって夕食以降のドカ食いを引き起こしやすくなります。この記事でご紹介した通り、「間食の種類を変える」ことが最も現実的なアプローチです。脂質を抑えた間食(干し芋・甘栗・ナッツ少量など)を選ぶことで、間食の行動は維持しながらカロリーだけを削ることができます。
まとめ:更年期のダイエットは「引き算の設計」から始める

更年期のダイエットは、若い頃の「根性で食べない」スタイルとは根本的に異なります。
ホルモン変化による代謝の変化を理解し、無理のない範囲で「小さな赤字」を積み上げていく設計が、長続きする唯一の方法だとわたしは感じています。
今日からできることは、ひとつだけで十分です。
- 揚げ物を焼き物に変える
- スナックを干し芋に変える
- 豚バラを豚ロースに変える
そのどれか一つを選んで、1週間続けてみてください。
続けられたという実績が、次の一歩の土台になります。
更年期は「衰えていく時期」ではなく、自分の体と暮らし方を丁寧に見直す機会です。
焦らず、でも着実に。今日のあなたの選択が、半年後の体をつくっています。
注釈|本記事で参照した主な研究・知見
本記事では、「更年期に食事量を変えていないのに太りやすくなるのはなぜか、そしてどのくらいのカロリー削減が現実的か」という問いに対し、単なる体験談や印象論ではなく、内分泌学・栄養学・肥満医学の知見を踏まえて構成しています。以下は、本文の背景となっている主な研究・レビューです。
①更年期移行期における内臓脂肪増加とエストロゲン低下の関連
- Lovejoy, J.C. et al. (2008). Increased visceral fat and decreased energy expenditure during the menopausal transition. International Journal of Obesity, 32(6), 949–958. 内容:閉経前女性156名を最長4年間追跡した縦断研究。閉経を迎えた群のみで内臓脂肪が有意に増加し、エストラジオール低下に伴う脂肪酸化能の低下が内臓脂肪蓄積を促進することを示した。
- El Khoudary, S.R. et al. (2020). Menopause transition and cardiovascular disease risk: implications for timing of early prevention: a scientific statement from the American Heart Association. Circulation, 142(25), e506–e532. 内容:米国心臓協会による公式声明。SWAN研究等の大規模縦断データを統合し、閉経移行期のエストロゲン低下が内臓脂肪増加・脂質異常・血管機能低下を通じて心代謝リスクを高めることを包括的に示した。
②カロリー制限による除脂肪体重(筋肉量)の減少リスク
- Seimon, R.V. et al. (2019). Effect of weight loss via severe vs moderate energy restriction on lean mass and body composition among postmenopausal women with obesity: the TEMPO Diet randomized clinical trial. JAMA Network Open, 2(10), e1913733. 内容:肥満の閉経後女性101名を対象とした12ヵ月のRCT。重度カロリー制限群は中等度制限群と比べて除脂肪体重の損失が大きく、総股関節骨密度も有意に低下。過度な制限が筋肉・骨量に与えるリスクを実証した。
- Serra, M.C. & Ryan, A.S. (2021). Bone mineral density changes during weight regain following weight loss with and without exercise. Nutrients, 13(8), 2848. 内容:閉経後女性を対象に減量介入後6ヵ月を追跡した研究。体重が一部回復した後も骨密度は低下し続け、上下肢の除脂肪量が一定量失われたままであることを示した。筋肉量の維持が骨量損失の抑制に不可欠であることを示唆。
③脂質の高エネルギー密度と脂肪制限による総カロリー削減の有効性
- Hooper, L. et al. (2020). Effects of total fat intake on body fatness in adults. Cochrane Database of Systematic Reviews, 6, CD013636. 内容:37件のRCT・57,079名を統合したコクランレビュー。脂肪摂取量を減らすことで体重が平均1.4kg有意に低下し、BMI・腹囲・体脂肪率も改善することを高確実性で示した。脂質削減量が大きいほど効果が大きかった。
- Martinez, J.A. et al. (2014). Personalized weight loss strategies—the role of macronutrient distribution. Nature Reviews Endocrinology, 10(12), 749–760. 内容:脂質・炭水化物・たんぱく質の代謝的役割の違いと体重管理への影響を総括したレビュー。脂質は1gあたりのエネルギー産生量が最も高く(9kcal/g)、過剰摂取につながりやすいことを複数のメタ分析に基づき解説。
④オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の炎症抑制への関与
- Li, K. et al. (2014). Effect of marine-derived n-3 polyunsaturated fatty acids on C-reactive protein, interleukin 6 and tumor necrosis factor α: a meta-analysis. PLOS ONE, 9(2), e88103. 内容:68件のRCT・4,601名を統合したメタ分析。EPA・DHAの摂取が炎症マーカー(CRP・IL-6・TNF-α)をいずれも有意に低下させることを示した。補充期間が長いほど効果が大きく、BMI30未満の対象者でより顕著な効果が確認された。
- Guo, X.F. et al. (2019). Effects of EPA and DHA on blood pressure and inflammatory factors: a meta-analysis of randomized controlled trials. Critical Reviews in Food Science and Nutrition, 59(20), 3380–3393. 内容:20件のRCTのメタ分析。EPAおよびDHAの補充がCRPを有意に低下させることを示した。脂質異常症を合併する対象者やCRP高値の群でより顕著な効果が確認された。
⑤食事摂取基準(推定エネルギー必要量)
- 厚生労働省(2020). 日本人の食事摂取基準(2020年版). 内容:50〜64歳女性の推定エネルギー必要量(身体活動レベル「ふつう」)の基準値として本文FAQ内で参照。厚生労働省公式サイトより取得可能。
補足|本記事のスタンスについて
本記事は、
- 医療行為や治療効果を断定するものではありません
- 個人の食事制限・栄養管理についての医療的な指示を提供するものではありません
更年期における代謝変化のメカニズムを整理し、「どこまでが変えられない前提で、どこからが選び直せる領域なのか」を読者のみなさまが冷静に判断できる材料を提供することを目的としています。気になる症状がある場合は、かかりつけ医や管理栄養士にご相談ください。

